南極での農業

2018年09月29日 世界の農業

南極とは、地球上の南極点、もしくは南極点を中心とする南極大陸およびその周辺の島嶼・海域(南極海)などを含む地域。地球上で最も寒冷な地域の一つであり、およそ3000万年の間降り積もった雪が溶けずに1000~2000メートルの分厚い氷の層に覆われています。※1

南極には世界各国の観測隊の基地が設置されており、日本は昭和基地、みずほ基地、あすか基地、ドームふじ基地の4つの基地をもっています。常に30名ほどの観測隊が滞在し、気象や地質、生物をはじめとする、さまざまな分野の調査と研究活動を行っています。

昭和基地での食生活は、和洋中、手を変え品を変え振舞われるていましたが、唯一不十分なのが新鮮な野菜でした。基地への食料は年に1度、十分な量が観測船で持ち込まれます。

しかし原則として、冷凍モノかフリーズドライのみであり、長期保存が難しい生野菜はじきに底をついていきます。

そこで隊員たちは1966年から自主的に野菜を栽培を開始し、2008年には本格的な装置を持ち込み、念願の安定生産を実現したのです。※2

フィンランドの農業の記事でも少し触れましたが、寒冷な地域での農業は、気温や季節などの問題から、収穫時期や作物が制限されるなど、大きな壁が存在します。

ましてや南極は、ほぼ氷で覆われた大地で、一部の沿岸地区の地衣類を除き、植生はほとんどありません。人間だって環境を整えなくては、生きてはいけない場所です。

そんな状況下で農業を可能にしたのが水耕栽培です。

水耕栽培は、土を使わず、植物の根を水にひたすような装置で栽培する方法です。植物に必要な栄養分は水に溶かして与え、建物の中で栽培し、温度や湿度を調整します。おもに、サラダナ、こまつな、ほうれんそう、レタス、みつばのような葉物野菜が栽培されるのが特徴です。

水耕栽培は、施設装置や栽培管理に費用がかかってしまいますが、限られた広さや環境の制約の中で農業を行えるという利点から、

都市農業(植物工場)の一環として注目を浴びています。都市農業とは、地方の畑や田んぼではなく、人口が集中する都市で農業をおこなうことです。

国際連合食料農業機関(FAO)によると、現在世界で8億人が都市型農業に従事し、近年かなりの数の屋内型農場が世界中の大都市でつくられているそうです。

 

日本では、例として、東京メトロが、新規プロジェクト“とうきょうサラダ”を発足。東西線の高架下に水耕栽培の野菜工場を作る、という試みを行っています。※3

このように、都市農業は、企業からの「農業」というジャンルへの新規の参入口としても注目されているようです。

また水耕栽培は、東日本大震災の津波による塩害対策の一つとして検討され、実現へ向けた取り組みも進められています。※4

南極や災害で痛んでしまった大地から、大都会の一角など、農作が難しい土地での農業を可能にしていく。

まさに未来の農業の一端かもしれません。

※1 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%A5%B5
※2 産経ニュース http://www.sankei.com/life/news/170731/lif1707310023-n1.html
※3 とうきょうさらだホームページ https://www.tokyosalad.com/
※4 農林水産省資料 http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo02/pdf/110826_1-02.pdf