<新規事業は必要か?>
マーケティングというのは、とても広い意味が含まれているため人により解釈が様々です。
「商品が大量に売れるための企業活動」などと解釈するものもいれば「お客を連れてくるもの」と言う人もいます。
ひとつの基本的な定義として「マーケットを探すもの」として考えた場合の話をいたします。
多くの事業主が毎日血眼になって、見込み客を探すわけですが、その事業所(企業)単位で見た場合ですと競合関係、地域性、商品性等の面からほとんど伸びしろが無いということも少なくありません。
昔、あるマーケティング会社に勤めていたころ、都内の文具メーカーさんから相談されたことがあります。
「うちは長年やってきたけれども、正直これ以上商品改良を進めるのは難しいし、仮に行ったとしても
見合うだけのマーケットが無い。業界的に言ってもどこも同じような状態だ。これ以上の市場調査に果たして意味があるのでしょうか・・」
と言う内容でした。
調査の必要性や経営手法の話は今回ひとまず置いといて、これは多くの会社で同様の声が聞かれると思います。
そして、マーケットが無いのであれば「新しいマーケットの開拓をしよう!」というのも多くの企業で考えられることだと思います。
しかしながら、新規事業の壁は決してやさしいものではありません。
統計的に言って、成功する事業は0.3%と言われています。つまり、1000社中、3社しか生き残れないというのが通説です。
新しい取組であれば、研究・開発費または手続き、事務処理の費用、宣伝・広告費と言う具合にかさむ費用のオンパレード。そして、失敗すればかけた全ての時間とコストを持っていかれるわけですからそれは簡単な決断はできないでしょう。
AIの進む昨今。あと10~20年で多くの仕事が消えると言われています。これは同時に「消える業界がある」という可能性にもつながります。
現時点で頭を悩ましている企業も多いでしょう。
文具メーカーの話もそうですが、突然ニーズが広がることなどまずありません。残された見込み客をかき集めても売り上げが右肩上がりというのは難しいでしょう・・
10~20年後見据えた新しい施策が、多くの企業で必要とされています。
「新規事業」への取組と言うのは、つまりは未来へのリスク回避だと思います。
何かに取り組まなければならないのは分かっている、しかしリスクを取るほどの余裕はうちにはないよ!という声が聞こえてくることでしょう。
では、どうするのがいいのでしょうか?
多くのコンサルタントの方がまず入念な計画を!!と言います。これは確かに正しいでしょう。将来の見通し、計画的な運用を熟慮することはビジネスである以上当然です。
そこに個人的な意見をもう少し加えると、以下の2点を考えた場合どちらか、または両方に沿っているか!?だと思います。
◆1点目 現在の顧客リストにも使える内容か?
◆2点目 コスト削減または宣伝効果に繋がるか?
「今が限界ならば」の話を散々しておいて、「今のビジネスに活かす話??」と思われてしまうかもしれませんが、要は
相乗効果を生みだす手法はリスクが低く、市場開拓に繋がる場合が多いということです。
これは先日書いた記事にも通じる内容です。
「あのっ!日本大手企業も目を向けるこれからの農業分野」
※ 飲食店のサプライチェーによるコスト削減例など
その他、【美容院に来る女性に向けた占いサービス】や【水産物の加工販売業者が贈答品事業で売上を伸ばした】等は現ビジネスを活かして、比較的リスク少なくマーケットを広げた事例です。
ある有名な経営者は自分が死んだ後の遥か未来までを考え、ビジネスプランを練っているということを聞いたことがあります。
これは極端な例でしょうが、まずは少し先に向けた小さな一歩が将来の大きな備えになるのかもしれません。