≪スイスの農業≫
スイスは、西をフランス、北をドイツ、東をオーストリアとリヒテンシュタイン、南をイタリアに囲まれる内陸国です。
国土面積は、九州本土より少し大きく、人口は、848万人(2017年データ)スイスは、国土の約4割が山岳地の為、放牧を中心とした農業が広くみられます。
耕地は平坦な中央低地に集中しており、主要農産物は、てん菜、小麦、ばれいしょ、りんご、ぶどう、菜種、乳製品等です。※1
森林面積は国土の約5割(約8億ha)で、世界の森林面積の5分の1を占めています。
産業用丸太の輸出量は世界第1位、製材の輸出量はカナダに次ぎ世界第2位(2014年)を記録しています。※1
スイスの農業や酪農でイメージするのは、ヤギなどの家畜の群れをアルプスの山で飼育する風景でしょうか。
牛、羊、ヤギを飼育しながら、農業を行い、長い冬の間は下山してふもとで暮らし、6月から9月の夏の間は放牧のために山へ登ります。これは伝統的なもので、牧畜農家の人々は、山の上の牧草地とふもとの村の間とを行き来する生活を現在も営んでいます。
また、スイスも、他の国々と一緒で農業事業者の減少問題は起こっています。もともとスイスの農業は全産業の 1%にも達していませんでした。しかし観光産業や国の食糧安全保障のための重要な貢献をしてきており、政府に手厚く保護されてきました。
2010年以降、有機農産物の生産が増加。周囲を農業国に囲まれていることから、農産物の低価格化よりも高付加価値化を重んじる傾向になってきたようですが、
政府が輸出支援補助金や輸入制限を撤廃し、農家への直接保護や有機農業の指導と普及を目指してきた故の効果です。※2
さらに2014 年から 2017 年の新しい農業政策では、農家への直接補助金の算出根拠をこれまでの動物の飼育数から、所有する農地の広さに変更し、直接農業の生産性とは関係しない、景観の保護や生物多様性の維持に対して補助金を出すことも盛り込んでいます。
スイスは、先進国で条件の不利な農業環境を有することから日本の農業と比較されることがありますが、国による農業への積極的な改革や補助は、日本も参考にしていきたいところではないでしょうか。