2026年10月9日付けで政府のパブリックコメントポータルサイト(e-Gov)に公示された「農地法(農地法施行規則)および農山漁村再エネ法(農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律施行規則)の改正案」について以下分析を施しておく:
今回の法改正により、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の導入手続きや規制は、従来の農地法ベースから「農山漁村再エネ法」を主軸とした地域調和型の制度へ大きくシフトする。
旧来の制度と具体的に何が変わったのか、重要な3つのポイントは以下の通り:
1. 手続きの仕組みと窓口の変更
- 旧来: 農地法に基づく「一時転用許可」が必要。基本的には農業委員会を窓口として、最大3年(担い手等は10年)ごとに許可の更新手続きを行う必要があった。
- 改正後: 農山漁村再エネ法に基づく「市町村の計画認定」へ移行。市町村が策定する「基本計画」に沿って、事業者が「整備計画」を作成し、市町村の認定を受ける仕組みに変わる。
2. 転用期間と更新手続きの緩和
- 旧来: 原則3年ごとの更新が必要で、事業者にとっては「期限が切れたら撤去しなければならないかもしれない」という長期的な事業継続へのリスク(投資の不安定さ)があった。
- 改正後: 地域の計画に適合し、市町村の認定を受けることで、農地法の一時転用許可が不要(または期間制限の緩和)となり、長期にわたる安定した事業運営が可能になる。
3. 地域(自治体)主導による適正化とトラブル防止
- 旧来: 農地法はあくまで「農地の確保・適正利用」を目的とした法律であるため、周辺の景観トラブルや防災、地域コミュニティとの調和といった再エネ特有の課題に対して、市町村が主体的にコントロールしにくい側面があった。
- 改正後: 市町村が主体となって「再エネを促進するエリア」と「制限するエリア」を明確に分けることができるようになる。これにより、地域トラブルを未然に防ぎつつ、地域の農業振興と調和した再エネ導入が進められる。
「営農型太陽光事業者」への影響
営農型太陽光事業者にとっては、不適切事業者の排除を目的とした「全国一律の厳格な設備・営農基準」が新たに設けられたため、事前の事業計画や設備設計のハードルが上がった。具体的には以下の3点への対応が必須となる。
- 厳格な設備要件のクリア:
農林水産省が示す基本方針により、太陽光パネルによる「遮光率を原則30%未満」に抑えること(または日射量減少を20%未満に抑えること)が標準基準として組み込まれた。また、トラクターなどの大型農機が通れるよう「パネルの下部高さを原則3m以上、支柱の間隔を4m以上」確保する設計が求められる。 - 営農計画の実効性・販売実績:
「売電目的で形だけ農業をする」事業者を排除するため、栽培する作物は一般の販売ルートが確立されている品種であること、十分な労働力が確保されていることなどが審査される。一部のガイドライン案では一定額以上の販売実績(例: 年間50万円以上など)が求められるケースもあり、新規就農者と組む場合はより綿密な営農計画が必要となる。 - 地域共生の義務化:
周辺住民とのトラブルを防ぐため、地域の協議会や計画段階での「地域コミュニティとの合意形成」や、発電利益の一部を地域・農業振興へ還元する仕組みづくりが事実上義務化される。
「市町村が基本計画を作っていない地域」での例外措置
改正後の制度では「市町村が策定した基本計画(設備整備区域)」に沿って事業を認定するのが大原則。しかし、全国の自治体のうち基本計画を策定済みの市町村はまだ一部(2026年時点で100〜130超の自治体程度)に限られている。
そのため、計画がない地域で事業が完全にストップしてしまわないよう、以下のような例外措置・救済プロセスがとられている。
- 農地法ベースの「一時転用許可」による補完(経過措置):
市町村がまだ「農山漁村再エネ法」に基づく基本計画を策定していない場合は、例外的に従来通り「農地法に基づく一時転用許可」の手続きによる申請を認める経過措置がとられている。ただし、この場合でも国が定めた「望ましい営農型太陽光」の厳しい新基準(遮光率や営農実態の担保)は満たす必要がある。 - 市町村による「独自基準(市町村特例)」の適用:
市町村が新しく基本計画を作る際、国の「一律30%未満」という遮光率ルールだと地域特有の作物の栽培に合わない場合がある。これに対し、公的機関の実証データなどの科学的根拠があれば、市町村が自らの基本計画の中で数値を柔軟に変更できる「市町村特例」が認められる。 - 国による自治体の計画策定支援:
事業者が参入を希望しているものの自治体が腰を重くしている場合、国が自治体に対して基本計画の策定や協議会の設置を財政・ノウハウ面で支援し、スムーズに「促進区域」を設定できるようバックアップする体制が強化される。
事業を始める際は、まず「工事予定の市町村が農山漁村再エネ法の基本計画を策定しているか、または策定予定があるか」を役所の農政課や再エネ担当部署に確認することが必要となる。
総括:
ソーラーシェアリング業界はこれまで、一部の「売電のみを目的にしたずさんな業者」の存在によって、地域住民や自治体からネガティブな目で見られるケースが少なくなかった。
今回の法改正でルールが厳格化され、悪質な企業が淘汰されることで、地域に調和した農業主導の再エネを行ってきた「SUNファーム市原」のようなパイオニア企業のブランド価値や社会的信用が相対的にさらに高まることとなる。
今回の法改正は、まさにSUNファーム市原がこれまで実証してきた「地域や農業と調和する正しいソーラーシェアリング」を全国の標準モデル(デファクトスタンダード)にするための改正と言える。
法制度が同社のビジネスモデルに追いついた形となるため、市原市でのさらなる横展開はもちろん、他自治体へのコンサルティングや横展開を進める上でも、非常に有利な経営環境が整ったと評価できる。
多くの太陽光事業者が「いかに売電収入を最大化するか(部分最適)」を考えていた時代に、SUNファームは「エネルギーと自然栽培の融合、SLOCを掲げる等、地域社会や生態系全体が豊かになる循環(全体最適)」を目指していた。この地域共生のスタンスが、まさに国が新制度で求めている「地域調和型再エネ」の理想形そのものだったといえるであろう。
Written by Kenya IKUTSU
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