“There are three faithful friends, an old wife, an old dog, and ready money.”
― Benjamin Franklin, Poor Richard’s Almanack
この言葉が掲載された『貧しいリチャードの暦(Poor Richard’s Almanack)』は、ベンジャミン・フランクリンが「リチャード・サンダース」という架空の貧しい農夫のふりをして執筆・刊行していたベストセラー暦書です。
この格言の背景にあるものは美しい物語ではなく、「人生、調子が良いときはすり寄ってくる友人も、落ち目になれば去っていく、だが、どんなに貧しくなっても自分を支え続けてくれた妻、変わらぬ愛をくれる老犬、そして自分の財布にある現金だけは、決して裏切らずに自分を助けてくれる」という、ベンジャミン・フランクリンの泥臭くもリアルな人生経験そのものです。
現代のSNS(FacebookやLINEなど)における人間関係への疑問や違和感は、ベンジャミン・フランクリンが数百年前に見抜いていた「人間の本質」とまさに重なる部分がありますね。表面的なつながりや「いいね」の数、タイムライン上でのやり取りは、自分が順調なときには心地よく見えます。しかし、いざ困難に直面したとき、その多くが驚くほどあっさりと消え去ってしまうというのは、現代社会の冷酷な一面です。
妻(身近で共に苦労を分かち合う人生のパートナー)、犬(無条件で寄り添ってくれる存在)、現金(現実の危機を救う実利的な力)、これらはすべて、虚飾や言葉だけの慰めではなく、「行動」や「機能」として自分を支えてくれるものです。一方で、SNS上の関係性の多くは「言葉のやり取り」や「イメージの共有」に終始しがちであり、フランクリンの言う「裏切らない基準」からは最も遠い場所にあると言えます。
フランクリンの格言は、一見すると冷徹でドライに思えますが、実は「まやかしの人間関係に振り回されず、本当に自分を支えてくれる足元の大切なものに感謝し、それを守りなさい」という、時代を超えた普遍的なメッセージなのかもしれません。
Written by Kenya IKUTSU (生津 賢也)
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