農薬や化学肥料を一切使用しないアグリボルタイクス自然栽培農園では今年よりニホンミツバチの養蜂に挑戦していますが、これを行う意義は、日本固有の自然環境を守り、持続可能な地域社会を創ることにあると言えます。外来種であるセイヨウミツバチの養蜂とは異なり、在来種であるニホンミツバチを育てることには、生態系・経済の各側面から独自の重要性が存在すると私は考えています。
- 在来種の保護と生物多様性の維持(生態系の側面)
自然林の生態系維持:
ニホンミツバチは、セイヨウミツバチが好まない日陰や地味な野草の花にも訪れ、在来植物の受粉(ポリネーション)を広く支えます。
天敵への適応力:
ミツバチの天敵であるオオスズメバチに対し、ニホンミツバチは「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」という独自の防御行動を持つため、日本の自然界で自立して生き残る能力があります。
遺伝的資源の保護:
野生種でもあるニホンミツバチを繁殖させることは、地域の豊かな生物多様性を守ることに直結します。 - 百花蜜の生産と地域経済への貢献(経済の側面)
希少性の高い蜂蜜:
ニホンミツバチの採蜜量は限られており、様々な野生の花から集められた「百花蜜(ひゃっかみつ)」は、奥深い風味を持つ高級品として市場で高く評価されます。
地域ブランドの創出:
地域密着型の養蜂であるため、その土地の気候風土を反映した「地産蜂蜜」として、地域おこしや特産品開発に寄与します。
また、私たちが取り組んでいる自然栽培アグリボルタイクスとニホンミツバチ養蜂の親和性は極めて高いと言えます。お互いが持つ「自然の力を最大限に活かす」という理念が完全に一致しているため、これらを組み合わせることで以下のような強力な相乗効果が生まれます。
- 無農薬環境が蜂の命を守る
農薬被害の回避:
ニホンミツバチは化学農薬や殺虫剤(特にネオニコチノイド系)に極めて敏感です。農薬を一切使わない自然栽培の畑やその周辺は、ミツバチにとって最も安全な避難所(セーフティゾーン)になります。
群れの安定:
有害な化学物質がない環境では、蜂が健康に育ち、環境を嫌って巣を捨てる「逃去(とうきょ)」のリスクが大幅に減ります。 - 多様な作物の受粉(ポリネーション)を促進
在来種の高い受粉能力:
ニホンミツバチは、特定の作物だけでなく、畑の周囲に生える雑草(野草)の花からも好んで蜜や花粉を集めます。
混植・間作との相性:
多様な植物が混在する自然栽培の畑において、あらゆる花を万遍なく訪れるニホンミツバチは、作物の結実率を自然な形で高める最高のパートナーです。 - 里山生態系のミニチュア化(循環の確立)
自然の循環:
畑の作物がミツバチに蜜と花粉を提供し、ミツバチが作物の受粉を助け、さらにその糞や役目を終えた体が土壌の栄養へと還ります。
生物多様性の向上:
ミツバチが媒介することで野生植物も豊かになり、それを目当てに他の益虫や鳥が集まり、畑全体の生態系バランスが自然と整います。 - 双方のブランド価値を高める
「自然栽培×和蜂」の付加価値:
自然栽培の畑で採れたニホンミツバチの百花蜜は、食の安全や自然派志向の消費者にとってこれ以上ない最高級のブランド(純国産・完全自然由来)になります。
「アグリボルタイクス×和蜂」の付加価値:
暑さに弱いニホンミツバチにとって、太陽光パネルが作る「適度な日陰」は巣箱の温度上昇を防ぐ最高のパラソルになり、また、太陽光パネルが直射日光や強い雨風を遮るため、巣箱周辺の環境(微気候)が安定し、ニホンミツバチに理想的な環境を提供することで、ミツバチが嫌がって逃げ出す「逃去」のリスクを減らすことが可能となります。
~最後に~
私たちの取り組みが日本で唯一無二であると考えられる理由としては、太陽光を単なる「エネルギー投資」として捉えるのではなく、「地域共生・里山再生(SLOC:Small, Local, Open, Connected)」のインフラとして定義している点にあります。
海外(特にアメリカや欧州)では、太陽光パネルの下を「ハチや蝶などの花粉媒介者の生息地(ポリネーター・フレンドリー)」にするアグリボルタイクスが法制化・推進され始めていますが、日本では私たちSUNファームがその最先端を走っていると言っても過言では無いでしょう。
Written by KENYA IKUTSU (生津 賢也)
あなたも「アグリボルタイクス自然栽培農園」に触れてみませんか?
クリーンエネルギーと自然栽培の融合が生み出す地球と人間に優しい「暮らしのカタチ」
百間は一見に如かずですから実際に見て感じてみませんか?

