SUNファームが養蜂に取り組む理由

安全な食とクリーンエネルギーの地産地消をモットーとしたSLOC型社会の構築という大義名分の下、アグリボルタイクス(ソーラーシェアリング)と農薬や化学肥料を一切使用しない自然栽培の融合を進めているSUNファームは何故養蜂も手掛けているのでしょうか?

世界の歴史を紐解くと、エジプトやヨーロッパでは約5000年前から養蜂が行われており、ミツバチは人間の生活に無くてはならない存在といえます。ミツバチはハチミツなどを私たちにもたらすだけでなく、多くの農産物の生産に寄与する重要な「パートナー」であり、また近年は都市緑化の担い手として、環境面からも注目されています。

我々がハチミツ生産やポリネーションに利用しているミツバチは、セイヨウミツバチというヨーロッパ原産のミツバチです。日本にもニホンミツバチという在来種がいるのですが、これは家畜用に向きません。というのも、ニホンミツバチは自分たちに必要な分の蜜しか貯めないので、ハチミツの生産量が少なく、また野生種のため、「盗去」という性質を強く持っています。盗去とは、付近に咲いている花が少なくなると、次の場所を求めて今の巣から引っ越しをする性質です。

セイヨウミツバチは、自分たちだけでは日本の自然環境の中で生きていくことができないことから、毎年花粉交配の時期になると、海外から輸入して使用する消耗品扱いでした。ところが、2006年にアメリカで発生した原因不明のミツバチ消失によるミツバチ不足によって、海外からの輸入が難しくなるなどのミツバチ不足問題をきっかけに、セイヨウミツバチの国内生産に力を入れようという気運が高まってきました。しかし、日本にはミツバチのエサとなるような蜜源植物がたくさんある環境が少ないため、緑化の推進、里地里山や森林の保護が必要となります。ミツバチの住みやすい環境を作ることは、結果的に私たち人間にとっても住み良い環境につながります。我々人間にとってミツバチは食料生産のみならず、環境の保護といった部分でも重要な役割を担っているのです。

平和で繁栄した社会構築へ向けて、環境面から解決すべき課題はまだ数多く残されていますが、私たちの生活に大きな関わりを持つミツバチとの重要性は今後さらに増していくと考えられるでしょう。これが我々SUNファームが養蜂に取り組んでいる大きな理由です。

因みに、養蜂家にとっての最大の頭痛の種は「ミツバチヘギイタダニ」ですが、こういった寄生虫に耐性を持つ新品種のミツバチの開発を心待ちにしている人は多いと思われます。近年病気に強い遺伝子を持つ個体、あるいは寄生ダニに抵抗性を持つ個体を選別・抽出し、それらをかけ合わせることで病気やダニに強い品種をつくるといったバイオテクノロジーの技法が確立されてきているとのことなので期待したいところです。

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