イギリスの農業は集約農業であり、農業の労働人口は2%以下ですが機械化された仕組みにより高い生産性を持っているのが特徴です。
穀物と酪農が英国農業の主要部門で、農業産出額に占める穀物の比率は14%、生乳は19%(2014年:農林水産省調べ)で、家畜はウシ、ヒツジ、耕作では主に小麦、大麦、ジャガイモ、砂糖大根、果物、野菜が挙げられます。
イギリスの歴史的な背景で言うと、18世紀に「農業革命」が起き、輪作と囲い込みを中心とした農法により農業生産力の高まっていましたが、
その後の「産業革命」により働き手が農業から工業中心へとシフトしていき、結果的に農業が弱まったという経緯があります。
日本と同じ島国のイギリスは農業において、「農業人口」「食料自給率」という共通の課題を抱えているのですが、イギリスは「食料自給率」の問題についてかなり積極的に取り組んできたようです。
事例の1つ目としては、65年9月に労働党政権下で決定された選択的拡大計画(The Selective Expansion Program)が打ち出されました。
70年までの食用食料の需要増加の大部分を、輸入を減らし国内生産増加により充足できるようにすること、飼養頭数増加で必要とされる飼料穀物の増加相当分を国内生産増で供給すること、などを目的としていた政策で、これにより、イギリスでは小麦、大麦などの穀物をはじめ畜産物が増加し、需要量が増加したにもかかわらず食料自給率が向上しました。
また、イギリスは73年にECに加盟していますが、加盟による農産物価格上昇への国民の不安とともに、農産物市場が広域化すると農業生産と所得が維持できるのかという不安が広がりました。
こうした批判や不安に応えるため、イギリス政府が75年に決定したのが「食料はわが国の資源から」(Food from Our Own Resources)を方針として打ち出し、国内農業生産の増大を目指すことを明確にして、今後政府自らが継続的に実施すべき目標と優先事項のガイドラインとしました。
結果とその後はというと・・・
農水省のデータによると、1965年時点で食料自給率(※カロリーベース)はイギリスで45%、日本で75%でしたが、2010年ではイギリス69%、日本で39%と逆転しています。 ※ 現在イギリスでは7割を超えている
現在も日本は食料自給率が下がり続けていることを考えると、イギリスの農業に習う点も多いのかもしれません。
参照ページ:
GRWRS ~食と農のアカデミー
https://grwrs.jp/?p=482
農業協同組合新聞
https://www.jacom.or.jp/archive03/closeup/foodbiz/2008/foodbiz080613-1369.html