皆さんバカマツタケというキノコをご存知ですか。
名前の通り、マツタケの近縁にあたる種で、日本、中国、パプアニューギニアなどに自生しています。
マツタケとは発生時期がずれていること、アカマツではなくクヌギなどブナ科の木の下に生えることから、「おかしなマツタケ」「ちょっと変なマツタケ」とされて、いつしか『バカマツタケ』などというあんまりな名前になってしまったのだそうです。
「マツタケ」よりは小ぶりで、、1カ月ほど早く生えてきます。他のマツタケの近縁には、マツタケモドキ、ニセマツタケがありますが、この2種と比べると香りも味も良く、食べるなら断然バカマツタケだそうです。
バカマツタケは一般のお店に並ぶことはほぼありませんでした。おもに原産地域の道の駅や、ネット販売などで一部が流通しており、殊更、高級食材として珍重されていました。なぜ流通していなかったのかというと、マツタケ種は、人工栽培が非常に難しいからです。
キノコの人工栽培は生きた植物からの栄養が必要で、
元来人工栽培には難しい種とされていましたが、
詳しく言えばキノコは、大きく2つのグループに分かれます。
シイタケやナメコ、マイタケなどが分類されます。腐生菌は、倒木や切り株などに生える菌類で、樹木や落ち葉を分解し、それを自分の栄養にして生きていける、人工栽培ができる種類です。
私達が普段スーパーなどで見かけるキノコは全て人工栽培によるものです。
(各言う弊社の農園SUNファーム市原でも、今年の春からキクラゲの栽培を行い、出荷をしていました。)
もう1つは、菌根菌のキノコで、人工栽培が非常に難しいとされていました。
菌根菌は、生きた樹木といっしょに生活している菌類で、菌からは土の中からリンや窒素などの養分や水を吸収し、根を通して樹木に届け、樹木は、光合成で作った糖類などを菌類に与えます。
菌根菌のキノコは、成長するための酵素をほとんど持っていないため、樹木との共生がなければ生きていけません。こういった環境を人工的に用意するのが難しいことが、菌根菌の人工栽培における大きな障害でした。※1
よって、マツタケとそれに類するキノコの完全人工栽培は、難しいとされ、これまで成功事例がありませんでした。
バカマツタケの人工栽培に関しては、奈良県森林技術センターも2月に人工栽培に成功したと発表していましたが、こちらは人工的に培養した菌をブナ科の林に植えて増殖させたケースで、今回のニュースとは少し異なります。
この研究は、6年前よりスタートし、今年結果を実らせました。
今後は、約3年程を掛けて、全国への流通を目指し、栽培量の安定化、供給体制の地盤固めを行い、事業化を目指すしており、生産者としては見逃せないニュースといったところです。
いずれはしめじやしいたけのように、私達の身近なスーパーなどにも高級キノコが並ぶときが来るのでしょか・・・
※2 多木化学 https://www.takichem.co.jp/