<エジプトの農業>
エジプトは、ナイル河の恩恵と共に発展してきた、古代文明と共に生きる都市、観光業が盛んな砂漠の国、というイメージ。
今回は、エジプトの農業について調べてみます。
エジプトの人口は、約 9,300万人※1
対して日本の人口は、 1億2659万人です。※2
国土面積は日本の約2.6倍ありますが、農用地は僅か約3%しかありません。国土の95%が砂漠地帯だからです。
・・・砂漠の国、というのは間違いないですね。
エジプトは、観光収入で成り立っているイメージが強かった為、驚いたことですが、農業は、就業人口、生産額のみならず外貨獲得の面でも歴史的に経済の中心のようです。
エジプトの総GDPは、2015年のデータでは、3,159億ドル。農業のGDPに占めるシェアは11%です。※3
就業人口の約 4 分の 1 を農業者が占めており、農業はエジプト経済における中心的な役割を担ってきました。(ちなみに観光収入はやはり主要外貨収入源の一角を占めており、2014~2015年度の観光収入は73.7億ドルのデータがありました。)
エジプトの主な農作物は、小麦、とうもろこし、コメ、さとうきび、てんさい、トマト、オレンジです。オレンジは、2013年には、輸出量世界第3位でもありました。
日本人で、エジプトとオレンジがすぐ結びつく人は、あまりいないと思いますが、
実はこの国では、オレンジ、イチゴ、レモン・・・と多くの種類のフルーツが通年で流通していました。
街中には庶民が利用するジューススタンドが複数あり、サトウキビをつかったジュースや、フルーツミックスやマンゴージュースなど、
シーズンによってさまざまなジュースを楽しめるそうです。是非一度訪れてみたいですね。
しかし、エジプトは年間2%以上の高い人口増加に直面している為、現在は、新規農地開拓地での、農業生産に注力しているようです。
エジプトは砂漠気候で雨が殆ど降らないため、水資源の殆どをナイル川に依存していました。
1970年にダムが完成し、ナイル川の通年利用が可能となった事から、従来約3%の農用地を、灌漑等を利用し、2030年までに約5%まで広げることを目指しています。
新規農地での生産力もあるのか、農業輸出産業の成長率は2010年から2014年の5年間で約12%増加しています。
なお、政府は、オアシス地域に至る大運河を建設して大規模農地開発を行う新規プロジェクトの立ち上げや、2015年には第1弾農地開拓として150万フェダン(約65万ha)の事業推進を行っているようですが、
同時に農地拡大に伴う深刻な水不足の問題も併発して、水資源の効率的利用のため水利組合の組織化にも取り組んでいるようです。
インドの農業の記事でも似たようなお話がありましたが、同様に
エジプトの農業は、砂漠という土地も関係し、特に水に影響を受けやすいといっていいでしょう。