「ソーラーシェアリング」と「養液栽培」を組み合わせたスマート農業のご提案

養液栽培とは?

養液栽培とは、肥料を水に溶かした培養液を使用して作物を育てる方法です。土を一切使用しないのが養液栽培の特徴で大きな括りで言うと、①培養液の中で根を育てる水耕 ②土の代用品となるものを利用した固形培地耕 ③根に培養液を噴霧する噴霧耕の3パターンがあります。

肥料の3要素と呼ばれる「窒素」「リン酸」「カリウム」に加えて、マグネシウム、カルシウム、その他栄養分を水に溶かして作物に与える手法で、多くの農家で広がりを見せています。

養液栽培の利点としては、効率性の向上、品質の安定・向上、作業の簡易化等が挙げられ、農業に初心者が参入しやすくなりました。

常に水分と養分が補給されている環境を作り出すため、成長が早く手間もあまりかからないというメリットがあります。

また土耕を基本とする農業では注意する点が多く、怠ると連作障害を起こす可能性が高くなりますがプロの農家が長い経験から培ってきた土づくりの技術が重要視されてきました。当然これはそう簡単にマネできるものではありませんし、この他にも注意する点が多数あります。

この点、養液栽培では土づくりの必要もなく、収穫直後に新しい苗を定植することが可能ですのでとても効率的です。栽培管理やデータが取りやすいという利点は栽培方法のマニュアルを作る時に効果的です。
マニュアルが出来てしまえば初心者でも運用できるため、人を雇っての管理もしやすくなるでしょう。

デメリットとしては大がかりなシステムのものが多く、施設や設備の導入費用が掛かるという点が挙げられます。
※ 連作障害:作物を何年も続けて同じ場所で栽培すると、生育が悪くなったり、枯れてしまったりする現象。病気や塩類集積が主な原因とされています。

ブルーベリーの養液栽培

こちらの画像はブルーベリー養液栽培システム「ネオアクア栽培」の様子です。

鉢を並べて、アクアフォームという培地を土の替わりに使いブルーベリーを植える手法で、上記の説明でいうと「②土の代用品となるものを利用した固形培地耕」にあたります。

アクアフォームはスポンジのような材質で、保水性・排水性に優れており染みこんだ養液を保水し効率的に作物の成長を促進します。通常、収穫まで5年はかかると言われるブルーベリーですが、この手法では3年目から収穫ができるようになります。

早い収穫は早い投資回収に繋がるので、将来的なプランにプラスとなるでしょう。

また水やりと肥料は自動潅水装置を使い、各鉢に対して点滴のように養液を与える農法で、本来ならば毎日行わなければならない作業をシステムで行うことができます。また鉢植えのため、地面を防草シートで覆ってしまえば雑草が生えにくい環境となり、草むしりと言った作業もなくなりますので作業を大幅に軽減することができます

ポッド式養液栽培の動画説明

<ポッド式養液栽培の動画説明>
ポッド式養液栽培について、より詳しく左の動画にて解説しております。

液肥ポンプから灌水装置を通して各ポッド(鉢)に養液の流れる様子が分かります。

タイマー機能もあるため、季節によって灌水の間隔を変えて調整することも可能です。

この仕組みは他の作物にも応用することが可能で、限られた土地で安定的に農業を行う仕組みとして力を発揮します。

その他・・

ポッド式のメリットで付け加えておきたいのが、場所の移動が比較的簡単にできるという点も挙げられます。
露地栽培の場合、後から位置を変更するには根を掘り返す必要があるので、作業者のみならず木への負担も大きくなかなか難しいですが、ポッド式であれば後から配置換えやポッドの増減にも比較的対応しやすいと言えます。

まだ葉や枝が少ない苗の時期は小面積で集中管理できるので、栽培初期の段階は広い面積を必要としません。
その間は土地(栽培予定地)も自由に利用できますので、他作物の栽培または本格的な栽培に向けた準備時間にあてることもできます。

ソーラーシェアリングの組み合わせ(SUNファーム市原農園の様子)

ブルーベリーの商品力

弊社では初心者にもできて、かつ収益性の高い農業のひとつとしてブルーベリーの養液栽培を推奨しています。上記に記載した通り、養液栽培にすることで、手間も少なく安定して生育する環境を作ることができるのが大きなポイントです。

またブルーベリーは単価も市場価格2500円/㎏前後と高く、健康食品としての人気も高いため比較的販路も開拓しやすい作物です。ブルーベリーに含まれる栄養素のアントシアニンは加熱や冷凍しても成分が変化しないことから、6次化にも向いています。ジャムやフリーズドライ等の加工をしても栄養素が変わらないためブルーベリーそのままの強みを活かした商品開発も可能です。

規模を大きくすれば観光農園として運営することができるのも魅力的なポイントです。観光農園では来園者(お客)が直接摘み取りを行うため、更に作業を軽減できますし、6次化商品や事前にいくらかパック詰めしておけば、来園者にお土産として販売することもできます。

ブルーベリーとソーラーシェアリング

ソーラーシェアリングとは?
ソーラーシェアリングとは、営農を続けながら太陽光発電を行う設備です。
耕作地に於いて地上から3mの位置に藤棚の様に架台を建築、短冊状に太陽光パネルを設置するシステムで「営農型太陽光発電システム」と呼ばれることもあります。
※ ソーラーシェアリングについて詳しくはこちら

 

結論から言うと、ブルーベリーとソーラーシェアリングの組み合わせは非常に相性が良くメリットの大きい仕組みになります。

ブルーベリーは「陰樹」と呼ばれており、日陰を好む植物とされています。暑さに弱く、あまり強い日光を浴びると葉焼けを起こしてしまうほどデリケートです。ソーラーシェアリングを利用した場合、パネルの日陰が程よくブルーベリーを守ります。またブルーベリーの収穫時期は6~8月がメインで、日差しの強い季節です。作業を行う人の熱中症を防ぎ、作業負荷を軽減するという役割も果たしてくれます。

また、ブルーベリー栽培のスタート時は収穫できるようになるまでの2年間は収入が発生しないため、その間は発電による売電収入がキャッシュフローを円滑にします。また、安定した収入は万一、天候不順で収穫量が落ちた場合でも強い味方になります。
※ 品種や剪定の仕方により異なりますが、本格的に実が付くようになるのは5年目からというのが通例です。

SUNファーム市原農園ではソーラーシェアリングを利用した適切な運営モデルの構築も行っております。

例えば、1000㎡のブルーベリー農園に40%程度の遮光率でソーラーシェアリングを導入すると、年間の売電収入は約100万円。

ブルーベリーが収穫できるようになると、フルで収穫できれば現在の価格で年間約300万円の売上が出ます。

1000㎡の土地から年間400万円が生まれると考えると収益性の高い農業を運営することが可能です。

上記はSUNファーム市原農園のデータと一般的な市場価格を元に作られたシミュレーションで、売電を利用した場合の方法でこれまでも比較的よくあるソーラーシェアリングの利用法です。SUNファーム市原では更にもう一段階踏み込んで「自家発電・自家消費」を軸にしたソーラーシェアリングの利用に取り組んでいます。

実際にSUNファーム市原で行っている運営ではブルーベリー栽培のソーラーシェアリングで発電した電気を隣接するハウスの水耕栽培の電力に回しています。※売電分は夜間電力の料金に充当。農業の収益性を柱にしています。

ハウス内ではハイポニカプラントによる水耕栽培が行われており、収量・品質の向上に優れた栽培技術です。しかし、多くの電力を必要とするためエネルギーコストの問題になります。

周囲の設備で発電したエネルギーを使い(ハウス自体にもパネルの設置有)、エネルギーコストを軽減することでこのデメリットを打ち消して高いレベルのスマート農業(スマートアグリ)を初心者でも行うことが可能になります。

その他の養液栽培

その他にも農園では多くの作物による養液栽培の実験が行われています。
現状、順調に成長している作物がほとんどで、将来的にはより収益性の高い作物のご提案が可能になるでしょう。

ラズベリー(ジョンスクエアー)
ブルーベリーと同じく、ラズベリーも強い日光に弱いためソーラーシェアリングに向いている作物です。赤い実が成り、一般的な家庭菜園では女性に人気の高いようです。

ミョウガ
病害虫被害がなく、あまり手のかからない作物です。湿気のある場所を好むため日陰をつくるソーラーシェアリングとの相性も問題ありません。また土耕の場合だと連作障害に気を付けなくてはなりませんが、養液栽培ではその心配もありません。

山椒
山椒は乾燥に弱いため、養液栽培は向いていると思われます。薬用作物としてニーズもあり市場価格も高いため、今後の成果に期待のかかる作物です。

榊(さかき)
神社や神棚に奉納されるものとして栽培される作物です。元々、山に生息することもあり、ある程度の日陰は葉焼けを防ぐなどソーラーシェアリングとの相性が良い作物です。養液栽培ではどのように育つのか、SUNファーム市原で実験中です。

アイスクリームブルーバナナ
あまり聞き慣れない作物ですが、その名の通り柔らかい食感でアイスクリームのように甘いバナナの実が付くといいます。熱帯の作物としては比較的耐寒性のある作物との事です。珍しい作物なので、潜在的なニーズが期待できます。

オリーブ
地中海地域では盛んに栽培されている植物です。健康食品としてのニーズも高く、6次化の商品開発として期待の持てる作物です。

その他の事例

先日、茨城県にてスタートしたソーラーシェアリングのブルーベリー畑です。

サラリーマンの傍ら、土日を利用しての農業をはじめ、平日は現在農業を行っている父親が見回りをしてくれてるようです。

土を使わないため、手間が少なく始めやすいと感じたのが切っ掛けとなり本格的に農業をスタートしました。周囲に自然が多く、環境に恵まれたこともあってか、順調にブルーベリーが生育している様子です。

まとめ

これまでお話してきた通り、養液栽培とソーラーシェアリングを組み合わせることによって農業の可能性が大幅に広がります。
メリットをまとめると以下の通りです。

◆ 初心者でも取り組める
◆ 収益性の向上(売電またはスマート農業による生産性向上)
◆ 労力の削減
◆ 土から発生する病気や連作障害を防ぐ
◆ 作物の成長促進と安定した環境を作る
◆ 6次化や観光農園等、事業の可能性を広げる

このようにこれから農業に取り組むまたは新しい事業に取り組むという方におススメの仕組みです。
気になる方は以下のフォームよりお問合せください。

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