新規就農とは?

農業を新しく始めることを「新規就農」といいます。

「農業をやってみたいけど、誰に相談したらいいか分からない」
「どんな支援策があるか知りたい」

こんな疑問をお持ちの方向けに、 就農相談窓口や就農体験(インターンシップ)等の情報、研修中に受けられる資金、就農開始直後に受けられる資金や無利子融資等を始めとした収入保険や補助金の情報など、就農支援の制度が見られます。

まず「新規就農」の前にその制度をひと通り確認しておくのが良いでしょう。

新規就農の理由

ちなみに、新規参入者の主な就農理由は以下の通りです。

・自ら采配を振れる
・農業が好き
・農業はやり方次第で儲かる
・時間が自由
・食物の安全性等への関心

やはり、独立志向の高い方やこれからの農業に可能性を感じている方が多いようです。

「時間が自由」というのが上位に挙げられますが、注意しなくてはいけないのは休みなく働いている農家さんもいるという事です。
手間がかかる作物もありますし、環境的に問題が生じれば、それこそ寝る間も惜しんでの作業になります。

特に収穫の時期は収入と直結する時期ですので、時間との勝負になります。自由な休暇をとれない事もあるでしょう。
もちろんそれで体を壊しては元も子もないわけですから、状況によっては人を雇う計算もしなくてはなりません。

独立しての農業となれば、自分が経営者(社長)なわけですから自己のスケジュール管理能力が必要になります。まずはその気持ち作りが大事かもしれません。

農家の平均年収

農業経営統計調査(2014年)によると農家の平均年収は456万円というデータがあります。ただし地位的な収入の格差があり、北海道・関東で高収入の農家が多くを占めているようです。北海道を除き、年収1,000万円を超える農家の多くは大型機械等を利用した大規模な農業が中心になります。

新規就農者が上記平均額を超えることは稀で、まずは250万円を超える事が最初のハードルです。
※新規就農給付制度は年収250万円未満が支給対象のため

就農の初期費用について

就農にかかる初期費用がまずは気になる所だと思います。

一般的に自己資金額は平均およそ500万円~600万円だと言われています。
全国新規就農相談センターが行なった「2016年度新規就農者の就農実態調査」によると、土地取得代を除いた額は平均569万円というのが具体的な金額例です。

主な内訳は初年度の生活費と設備投資で、特に最初は農業設備や農業機械にコストがかかることを考えなければなりません。

生活費についても注意が必要で、新規就農者のうち「おおむね農業所得で生計が成り立っている」と答えた人は24.5%、「就農1、2年目で目処が立ちそう」と答えた人は76.4%(参照:マイナビ農業)との事ですから補助金等も使いしっかり準備しておかなくてはなりません。

新規就農の3つのスタイル

新規就農スタイルには大きく以下の3通りがあります。

【1】自分で起業して始める
【2】農業法人等に就職する
【3】親の経営に参加・継ぐ

いずれも一長一短で、個人の状況によってもベストな選択が変わってくると思いますので今一度ご自身の状況を確認してみましょう。

 

【1】自分で起業して始めるについては、自分の思う農業経営を目指し、自由な働き方ができるというのがメリットですが、初期投資の準備やリスク等も自己責任となります。
また就農から数年は収入を得られない農業がほとんどですので、生活費の準備なども考えて置かなければなりません。

【2】農業法人等に就職するはいわゆる雇用就農と呼ばれるもので、安定した給与を得られる、働きながら技術を取得できる等のメリットがあります。ただし、まだこの段階では従業員なので自分のやりたい農業はできません。

【3】親の経営に参加・継ぐはもちろん個人の状況次第となりますが、【1】と【2】のリスクやデメリットをある程度軽減できる場合が多いようです。

どの就農スタイルにしろ、「技術の習得方法」「資金集めや補助金などの支援制度の確認」「農業に必要な土地、機械・設備、住宅の準備」と言った情報をしっかり集めて置かなくてはなりません。

農業経験が無く、まずは体験してみたいという方は「市民農園」を利用するという選択肢もあります。市民農園は市区町村が農家から土地を借りて一般市民に貸し出す行政サービスで自由に栽培することが可能です。ただし、指導員はつきませんのであくまで自力で自由に試したいという方向けの制度です。

指導を受けることを希望する場合は「農業体験農園」というものもあります。農業者が開設し、経営・管理する農園で、東京の練馬区がはじまりとして有名です。 細かな指導を受けることができるので、しっかり習ってからはじめたいという方にはお勧めです。各地域で検索してみるとよいでしょう。

また、余談かもしれませんが、多くの方就農希望者が有機栽培を希望するそうです。しかしながら、この栽培はかなり難易度が高くなると思った方がいいでしょう。害虫や病気の広がりが早くなるため、初心者の場合だとあっという間に全滅という事もあります。農業には様々な選択肢があるため、よく検討する必要があるでしょう。

就農の情報収集

下記は就農にあたり農水省が推奨している情報リンク

<農業を体験してみたい「農業法人等でのインターンシップ」>
公益社団法人日本農業法人協会
https://www.be-farmer.jp/service/intern/about-intern/

<農地を確保したい>
全国新規就農相談センター(一般社団法人全国農業会議所)
就農希望者の農地の確保を支援し、農地の借り方や確保に向けた取組の紹介・相談を行っています。

https://www.be-farmer.jp/
又は各都道府県の新規就農相談センター等があります。

<移住して就農・起業する際に受けられる支援策>
地方公共団体が主体となって実施するもので、事業の実施予定、支給額、要件等
制度の詳細は地方公共団体ごとに異なります。

地方創生HP
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/shienkin_index.html

 

参照: 
農林水産省<新・農業人ハンドブック2019>
https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_kikaku/attach/pdf/handbook2019-2.pdf

農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/index.html

全国新規就農相談センター
https://www.be-farmer.jp/

農業に必要な農機具の調達

農業を始める前に農機具の調達方法についてある程度計画を立てておく必要があるでしょう。
もちろん作物によって必要なものは変わってきますが、「トラクターや耕運機が必要か」等は予測がつくと思います。

購入かレンタルか・・・購入ならばメーカーから購入するか、中古業者を使うのか、インターネットから安く調達することは可能か!?等、意外と多くの選択肢があることに気づきます。その他にも鎌や鍬、コメならば精米機、キノコ栽培ならば菌床や乾燥機等、工程から出荷に応じた準備を考えると細々とした物がどんどん出てきます。

もちろん資金が最初から潤沢にあるのであれば、気にすることはありませんが、そのような恵まれた条件でスタートできるのはほんの一握りの方でしょう。

農業ならではの共同購入といった選択肢もありますので、どのようにコストを落として円滑なキャッシュフローを作っていくかじっくり考えてください。

農業の補助金

おそらくどのような業種であれ、新事業の初期投資金額は抑えたいというのが、経営者の本音になると思いますが、それはこれから農業をはじめようする農家にとっても同じことでしょう。

そこで選択肢として浮かんでくるのが、「補助金」です。
使い方によってはコストの削減だけでなく、よりしっかりした設備投資に回すこともできるため、情報を集める際には重要なポイントです。

以下、代表的な補助金制度を列挙いたしました。
自身のステージに合ったものを詳しく調べてみてはいかがでしょうか
※ それぞれ募集期間等は各サイトでご確認ください。

【1】農業次世代人材投資資金
   次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金、及び就農直後の経営確立を支援する資金を交付するとしています。
   条件を満たした場合、最長2年間、 年間最大150万円を交付される制度です。

   農林水産省の管轄ですので、こちらをご参照ください
   https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html

【2】経営体育成支援事業
   農業の設備投資として利用できる制度です。
   地域農業の担い手を育成し、その方たちが経営発展等に取り組む際に必要となる農業用機械・施設の導入等の支援を目的としており、
   条件次第では4,000万円の助成となります。ドローンや最新鋭のハウス等、

   農林水産省の管轄ですので、こちらをご参照ください。
   https://www.maff.go.jp/j/keiei/keikou/kouzou_taisaku/

【3】事業継承補助金制度
   後継者不足で廃業する中小企業を対象に、後継者の経営を支援する目的で作られた制度。
   最大1200万が上限で、農地の合併や買収にも利用できます。

【4】IT導入補助金
   主に経済産業省が主体で中小企業、小規模事業者等を対象に業務の効率化や売上拡大に資する簡易的な
   ITツールの導入に要する経費の一部を補助することで、中小企業等の生産性向上を図ることを目的としています。

【5】ものづくり補助金
   新製品・サービス開発等のための設備投資を支援することを目的とされています。
   ブランド商品や6次化商品等に適しているのではないでしょうか。
  (参考)http://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html

その他にも、例えば米や小麦といったように限定された作物が対象の補助金・助成金もあるようです。

儲かる作物とは?

農業をはじめることを決めた後、多くの方が気になる問題だと思います。
何をもって儲かると言うのかと言うところですが、農業の場合は大きく2つの軸があるようです。

それが「農業所得」と「労働時間」で、農水省が公開している「農業経営統計調査」という資料から考えることが出来ます。

同規模の農業を行った場合、その土地でどの位の利益を生み出すのか?
そしてその効率性は?という話です。

例えばシシトウは1000㎡あたり約400万円の粗収益と言われていますが、そこにかかる労働時間は約2000~3000時間。これは他の作物と比べてもかなり高い工数で、経費を引いて時給換算すると500円前後となってしまうため、おそらく割に合わないと思う人も多いでしょう。

時給換算で考えた場合、「キャベツ」「白菜」が2000円近く、効率的に稼げる作物だと言えます。
ただし、葉物は市場価格の乱高下が激しい点に注意をしなくてはなりませんし、1000㎡あたりで作れる量は限られておりますので、地域の収穫に関するデータ等も確認してみるのが良いかもしれません。

もちろんのことですが、就農する場所の気候や土地、資金状況などによりある程度選択肢は限られてくるかと思います。
何が良い作物なのかは就農前にしっかりと調べて、思案する必要があると思います。

農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/
※ 注意点としてこのデータはベテラン農家のデータに基づいているため、新規就農者はこれよりも低い基準になると考えてください。

農業の高齢化と事業継承の問題について

世の中では高齢化問題が常日頃から叫ばれ、社会問題として危惧されていますが、農業の後継者問題と重ねると更に深刻です。

農業の高齢化が問題として取り上げられるようになったのが1970年代からと言うのですから、既に数十年に渡り続く我が国の課題です。

耕作放棄地(主観ベース)の面積は、年々増加し平成27年には42万3千ha(平成27年データ)
農地はあるが、農業ができないという事で行き場のない土地が増えているようです。

農家の平均年齢6割が65歳以上でこの数字はここ数年変化がありません。
高齢化の続く大きな要因は幾つかありますが、初期費用の敷居の高さそして収入の低さにより若い世代がスタートする難しさが挙げられています。

とは言え、農業とひと口に言っても様々なモデルがあり、多くの魅力もあるため、それらが伝わっていないことが問題かもしれません

各地域における営農・就農への取組

営農を支える取り組みにはいろいろなものがありますが、山口県では少し変わった助成制度があるようです。
 
山口県は、雇用と独立双方での就農者の増加、定着を目指し、営農と生活を共に支援する事業の強化を方針として打ち出しました。

「従業員や構成員として受け入れる集落営農法人やJAに対し、住居となる空き家の改修費用を助成。住居の確保が就農の支障となる例が多いことから県域では珍しい(県農業振興課)パッケージ支援に踏み切った。」とのことです。

<日本農業新聞参照2018年5月6日>
https://www.agrinews.co.jp/p43998.html

青森県では小・中学校から農業に触れる機会として農業体験などを実施しており、農業関係の高校では農業経営を主眼に置いた教育が行われています。

その他、「就農希望者のタイプに応じた就農指導の強化」という取り組みで、就農希望者が農家出身か否か、県内出身か否か、経験の可否によってサポート体制を変えるという個々のスタートを変えた就農指導を取っており、若い農業者の確保・育成を進めて行くための地域を上げたシステム作りが図られているようです。
https://www.pref.aomori.lg.jp/sangyo/agri/A-Life-park_kozoseisaku.html

また、沖縄では積極的に新しい農業の人材育成に取り組んでいます。
「平成30年度「アグリチャレンジ起業者育成事業」業務委託の企画提案募集」が行われ、商品作りや販路開拓を学ぶ機会を作り支援を行っている様子。その他「農業支援外国人受入事業」と言った、国際色の強い沖縄ならではの取組も行われています。

どの地域、どのシステムにおいても言えることですが、人を通じたネットワークおよび人から学べる環境作りというものに注力している様子が伺えます。

目指しているところは若い世代にやりがいを伝えることによる「人材の確保」。
そしてこれは農業の活性化へのタスクであり、惹いては地域の活性化へと繋がっていきます。

障がい者支援 農福連携について

障がい者が農業で働く「農福連携」がここ数年で高まりを見せています。
元々は自給自足的な食材確保からはじまり、現在ではリハビリとしての利用や地域交流・レクリエーションとしての要素も含んでいるようです。ポイントは人との繋がりを保てることです。

実際、精神面の改善やコミュニケーション力の向上にも繋がっている場合が多いようです。

農業は百姓の「百」の名の通り、多岐多様な仕事で多くの工程に分かれています。
専門的な知識、経験を必要とするものもあれば、繰り返し作業を根気強く行うものまであります。
 
部分的な工程で言えば、ほとんどの人が参加できる職業でもあると言われており、
それ故、農業や農業に関わる仕事は障がいのある人に割合とっつきやすいものが多いと言われています。

障がい者就労継続支援事業とは?
一般企業に雇用されることが困難な障がい者に対し、障害者総合支援法に基づき仕事を提供する事業。
就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他厚生労働省令で定める便宜を供与する
A型事業とB型事業の2種類があり、主たる違いは雇用契約の有無
A型事業の対象は「通常の事業所で雇用されることは困難だが,雇用契約に基づく就労が可能な方」とされていて、最低賃金の適用がある。

<各地域の取組>
積極的に農福連携を進めるJA香川県では以下の取り組みが行われているようです。

<日本農業新聞より>
農福連携を進めるJA香川県では、青ネギの集荷場で働く就労継続支援B型事業所に、今年から最低賃金に基づいた工賃を支払っている。
同事業所は法律上、最低賃金の適用を受けないが、2カ月間の試用期間を経て障害を持つ利用者の働きぶりを評価した。
JAは持続可能な地域社会の実現を目指す一環で2019年度から3カ年の中期経営計画で農福連携に取り組む方針。
https://www.agrinews.co.jp/p47079.html

観光農園とは?

「観光農園」と聞くとピンとこない方も多いかもしれません。
またの名を「摘み取り農園」と言ったりもします。
  
その名の通り、観光客を対象に農作業の体験(主に摘み取りや収穫)の代わりに対価を得る農園です。
味覚狩りと聞くと、何かしら思い当たる人が多いのではないでしょうか。
みかん・梨・イチゴ・ブドウ・ブルーベリーと毎年決まった時期にたくさんのチラシを目にするはずです。

単純な商品ではなく、レジャーとしての楽しむ要素が強いもので、家族や友人、恋人同士で会話を楽しみながら
自然や農業に触れて好きな果実・作物を楽しむことができます。
  
多くの場合、既存農家が新規事業として取り組むようです。

<観光農園のメリット>

まず、1番とも言える大きなメリットが収穫・梱包の必要が無いということです。
つまりこれは少ない人数で運営することができることを意味しています。

農業において、収穫というのは苦労が実った喜びの瞬間でもありますが、同時に重労働の時期でもあります。
ようやく実ったと言っても作物は待ってはくれません。限られた時期に収穫が終わらなければ作物は弱り、収入には結びつかないのが厳しい現実です。

その点、観光農園であれば収穫の手間も無ければ梱包や輸送も不要です。大きなコスト削減に繋がります。
※ 運用の仕方によって差があります。

また加工品(6次化商品)の販路としても有効です。自分の作っている作物を好きな方が向こうから来るのですから、
お土産用として販売すれば、売り上げのプラスが期待できます。

商品例の定番としてはアイス・ジュース・ジャム等があり、農園で採れた新鮮な素材から生まれたというイメージがブランディングにもなるでしょう。

<観光農園をはじめる注意点>

注意点として、まずはしっかりと初期投資の資金を確保しなくてはなりません。多くの農園が駅から遠い場所にあるはずですから
駐車場が必要になるでしょう。レジャー感覚で来るお客様の事を考えるとトイレや休憩所等も綺麗に用意する必要があります。
  

また作業が減るメリットとは別に、観光農園ならではの、やらなくてはならないこともあります。
接客や宣伝等です。どちらも観光農園には欠かせない重要な要素ですので事前にしっかり考えておかなくてはならないでしょう。

  
宣伝方法によってはホームページ・チラシ・看板なども必要になりますし、メール・電話で来た問合せに対しどのような予約・対応をするかも重要なポイントです。
  

モデリングを使い勉強するかコンサルに相談するか・・いずれにしろ、根拠のしっかりとした経営の事業計画を作ることが必要なります。

6次化によるブランディング

特に観光農園について興味のある方は併せて6次化も検討されると良いでしょう。

平成22年度から農業の「第6次産業化」というのがキーワードになっています。

農林水産省のホームページによると、
「1次産業としての農林漁業と、2次産業としての製造業、3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ
一体的な推進を図り、農山漁村の豊かな地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組」とされています。

ちなみに6次の語源は農業=第一次産業の「1」と、加工=第二次産業の「2」と、流通=第三次産業の「3」の数字を使って、
1+2+3=6で「第6次産業」を指す言葉になったとのこと。

http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika.html

これまでの農業はいかに「生産」するかを重視してきました。もちろんそれは今でも間違いではないのですが、
これでは決まったものを、だいたい決まった量で決まったところに販売するという流れから抜け出ることはできません。

もちろん、販売価格がそれなりの高い単価であれば話も違いますが、安く買いたたかれてしまう場合も多いと聞きます。

市場の卸価格の影響を受けにくくするという点でも6次化のメリットがあります。
加工することによって、豊作の年に生産調整をするという必要がなくなるからです。(商品にもよりますが)

保存期間が調整できるようになれば、タイミングを見て市場に流すこともできますし、
加工品は比較的差別化や商品のブランド化がしやすいというのもメリットです。
環境志向や健康志向の高い人が増えている昨今、農家による加工品というのはブランディングの強みになるでしょう。

または味や品質には問題ないが、色や形が悪いなどで販売できない作物等を利用する場合もあります。
採れた作物を無駄なく商品化できるのは、農家と消費者双方にとってもありがたい話です。
観光農園によっては6次化の商品を休憩スペースで提供するなど、カフェやレストランとして提供しているところもあるようです。

ただし、食品衛生法など法律の絡みや商品化に必要な収量は十分あるか、
何より資金とのバランスは取れているか等、しっかりと調べてからのスタートになるでしょう。

農水省で成功事例のページが掲載されていましたのでご参照ください。
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika/jirei/

農家の販路開拓

販路開拓はこれからの農家にとって大きな課題です。

せっかく良い作物が採れるようになっても安定した販路がなければ、
安く買い叩かれて、ブランディングにも支障が出るという悪循環に陥ってしまうでしょう。

そんな折、最近ではフリマアプリを使った、農業生産者による野菜や果物の出店が増えているのをご存知でしょうか。

一般的なネット販売の方法は、自分達のオンラインショップを開いたり、大手通販サイトに出店して売る、の2つです。

この2つの方法のメリットは、ネット環境があれば、どこでも「自分の店」を見ることができることです。インターネット普及率:1億84万人、人口普及率は83.5%(2016年データ)を誇る日本では、効率的なアピール方法でしょう。

しかし、オンラインショップを開くためには、ホームページを作る必要や、通販サイトへには出店料や手数料の支払いが必要で金額や時間等の負担がありました。

そこで、ネット直販での負担を軽減できると注目されたのが「フリマアプリ」でした。

フリマアプリは、スマートフォン(パソコンでもできる)を使い、売りたい商品を撮影し、ユーザーが自身で価格設定や商品情報を入力してサイト上に出品され、ネット通販よりは気軽に、商品の売買を行うことできます。

生産者自らが、作った野菜や果物を出品するケースが増えてきました。

実際に、楽天が運営するフリマアプリ「ラクマ」では、2017年3月から2018年3月に掛けての1年間で、農産物の取引額が大幅に拡大しており、米は4.8倍、果物は5.9倍、野菜に関しては11.9倍の増加となっていることから、フリマアプリの「使い方」について、農業生産者の注目度が高いのも伺えます。

問題としては、こういったフリマアプリを活用するのがプロの農家だけではないこと。

趣味で家庭菜園をしている人等も、フリマアプリを使って出品している場合のある為、その人たちと価格や品質で競い合わなくてはならないのです。商品の価格や、見せ方などの工夫が必要です。

中には農家限定の専用アプリもあるようです。当然審査があるなど出品条件は厳しくなりますが、一般のフリママーケットと違い、安全思考・健康志向の高い客層が集まるため自身の商品(農作物)に合わせて販売法を変えることができます。

これまで直売所等、限られた販売ルートしかもてなかった農業の流通が変わりつつあります。

慣れれば誰でも手軽に利用できるフリマアプリ。この機会に販売方法の一手として、検討されてみてはいかがでしょうか。

農業の成功者事例

◆ ブルーベリーファームおかざき

愛知県岡崎市「ブルーベリーファームおかざき」の敷地面積は約7,500㎡で、名古屋から車で30分の場所に位置するブルーベリー畑の観光農園です。

https://blueberryokazaki.com/

オーナーである岡崎様の著書「最強の農起業」は農業起業家の間では
なかなか有名で、45歳で転職して観光農園の経営が軌道に乗るまでの経験談が載っています。

キャッチコピーが「営業日は年間60日で年収2000万円」
というもので、成功ポイントを大きく3つに絞っており、

①「素人でもできる養液栽培」
②「収穫・作業の効率化になる観光農園」
③「ITを使った集客」

というものです。

ブルーベリーは初心でもはじめやすく、作物単価も高い魅力的な作物です。
まだまだ伸びる事業だと思われますので、是非いろいろ調べてみてはいかがでしょうか?

<ソーラーシェアリングとブルーベリー養液栽培>
https://solar-sharing.org/bb

◆ 彩の榊

ツバキ科の植物「サカキ(榊)」は個人や会社の神棚でお供えしたり、
神社の神事で使われる植物です。

名前を知らなかった人も多かったと思いますが、今年(2020年)の6月に多くの人が興味を待ちました。
TBSのTV番組「がっちりマンデー」でニュータイプの農業として取り上げられたことが切っ掛けです。
https://gacchiri.tv/n/nad3b146bed93

国産榊の生産者が少なく、競合も少ないため、榊の年間売上が1億円以上との事。

販売先は主に「不動産会社」「運送会社」「農家」「漁師」等、
伝統を重んじる職業の方に人気があるようで、一束約200円で販売しているとの事です。

代表の佐藤様が番組内で説明したこの農業の特徴として、ソーラーパネルの下で榊栽培を
行っているという事です。

更にこの農業ではひとつ大きな特徴がありました。

東京ドーム半分ほどの敷地に
約7,000枚のソーラーパネルが広がり、約1万6000株のサカキ(榊)が植えられています。

パネルの日陰で育てると、濃い緑でツヤのある葉に育つため品質的にも申し分ないとの事。
元々太陽光事業を行いたかった土地のオーナーさんと榊事業を行いたい佐藤社長の利害がマッチングしたことで、
土地代無料で栽培することができているそうです。

パネル下で栽培すると、本来は山の植物である榊を比較的簡単・安全に栽培することができることも
この栽培法のメリットです。

ソーラーシェアリングを利用したサカキ(榊)栽培について

https://solar-sharing.org/sakaki

◆ 寺坂農園株式会社

北海道にて赤字農家を引き継いだ寺坂さんは増収に苦戦する中、新しい取り組みとしてメロン栽培を新しくはじめました。
売上が順調に伸びていた頃、価格暴落が起こり悩んだ末思い切って直売所をオープン。コンビニで手に取ったマーケティングの本に影響を受け、販売手法に力をいれることで、そこから一気に業績を上げました。

8年で売上を4倍、年商1億円を突破。単なる生産者ではなく、流通・マーケティングまでをしっかり視野に入れた経営をされたようです。
現在ではメロンに加えてアスパラガス、トウモロコシ、旬の野菜等、様々な通販を手掛けており、ドレッシング&ピクルス・コンポートなど6次化の加工食品の販売も行っている様子で幅広い農業経営を行っております。

https://furano-melon.jp/

北海道では小規模面積の農園との事ですが、農業の成功事例としてとても参考になるのではないでしょうか。

著書『直販・通販で稼ぐ! 年商1億円農家』

◆ 株式会社農業総合研究所

2016年に農業ベンチャーとして初の株式上場を果たした企業で、生産だけではなく、流通面までを総合的に研究する会社です。

結婚後、和歌山県でキュウリ農家として就農したのですが、当初は苦難の連続でようやく実になったキュウリを出荷しても消費者からの反応を見ることができず、やりがいを感じにくい、また地道な営業販売をしても、年収が約40万円と収入も伸びない・・・経験不足と現実の厳しさ思い知らされたようです。

当初、代表の及川社長がたった1人で50万からスタートしましたが、それが現在では売上高70億円に拡大しております。
ポイントは農業の仕組みそのものに着目し、生産から販売に関わるビジネスモデルを作ったところにあります。

農業でこんなにも売上を出せるのかと驚かされますが、主軸の事業はスーパーの売り場にある「農家の直売所」です。
農家の商品である野菜や果物等の作物を新鮮な内に届けることができ、現在では直売所があるスーパーは1000店を超え、契約農家も約7000人と順調に伸ばしています。

参照
https://j-net21.smrj.go.jp/special/news/ffsr280000002dpy.html
https://president.jp/articles/-/25725

◆ 株式会社いろどり

TVやメディアでもよく聞く程に有名なため、ご存じの方も多いかもしれません。
徳島県の上勝町は「葉っぱビジネス」として有名です。

人口わずか約2000人、高齢者50%以上、町の面積の86%が山林の町ですが、地域の高齢者で年収1000万越えが続出しており、
ニッチな高収益農業のビジネスモデルとも言えます。

元々、「ミカン栽培」が主流の地域だったのですが、大寒波によってミカンが全滅してしまい新たな農業として考えたのが、「つまもの」です。

全国の料亭などで飾りつけに使われる葉っぱや花を山林から採取して、販売するというごくシンプルなスタイルですが、年間2億5千万円の売り上げを作る事業に成長しました。

単純に収益が高いというだけではなく、高齢者や女性でもできる農業ということで産業福祉としての役割も大きく心と身体の健康にもプラスとなる面が多いようです。
お年寄りがパソコンやタブレットで注文を受けている姿が見られるというこの町は、生活保護世帯も少なく老人ホームも廃止されたという実績があるようです。

参考
https://takaguchidesign.com/wp/seikou1
https://www.projectdesign.jp/201510/pn-tokushima/002488.php

◆ 農業生産法人こと京都株式会社

京都市で年商10億円以上を売り上げる会社があります。
当時32歳だった山田社長がサラリーマンを辞めて農業を継いだのですが、
収入の低さに驚き「農業を儲かるビジネスに変えたい」その思いで事業を拡大させてきました。

まず改革の1歩として栽培する作物を「九条ねぎ」一本に絞りました。
栽培サイクルが早く1年を通して収穫できる点が事業の効率化に繋がり、年商が4倍になったとの事です。
その次に行った事業改革が加工販売で、ねぎをカットして売ることによって麺類等で使えるようになります。

当時の東京では珍しさもあって、評判がよくラーメン店の直販行うようになりました。
2002年には年商1億を突破し、生産から流通までを一貫して行い販路の拡大を進めました。

現在ではドレッシングやレトルトスープなど6次化商品も生産しており、
2016年には年商10億を達成しています。

山田社長著書「脱サラ就農、九条ねぎで年商10億円 京都発 新・農業経営のカタチ」
参照:https://jfaco.jp/archive/interview01.html

 

大企業の農業参入事例

住友化学グループ
2019年より「株式会社住化ファーム長野」「株式会社住化ファームおおいた」
を設立し、その後も複数(計全国7ヶ所)の農場を運営しています。

作物は「トマト」「いちご」「キャベツ」「レタス」「みつば」を栽培しています。
住友化学グループ内で多くの農業関連の農薬・肥料・資材・関連技術・農産物の販売までをグループ内の各社からサポートを得られる体制になっているのが強みのようです。

カゴメ株式会社
長年の苦労のすえ、2012年度に生鮮野菜事業が連結決算上で黒字化。
大規模なハウス施設を使ったトマト栽培に取り組んでおり、生産性を強みとしています。
トマトの生育に最適とされる量のCO2を、濃度のムラなく施設全体に行きわたらせる技術を開発しており、環境制御を徹底しており、年間を通して品質にバラつきがでないとの事です。

「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」ことを掲げ、
SDGsは事業のステークホルダーへ伝える「ものさし」として考えているとしています。

オリックス
オリックスは、長野や静岡、兵庫に計4か所の農場を所有しており、農場はICTを活用した大規模ビニールハウスで、水耕栽培がメインとの事です。
主に葉物を栽培しており、センサーを通じて温度、湿度など徹底した環境制御を行っています。

外気をシャットアウトしたクリーンな環境を心がけており、日照や天候、気温などに左右されない栽培システムです。
最大の強みは栽培された野菜がグループ会社であるオリックス・フードサプライによって販売されており、全国規模のネットワークで流通させることができます。

 

海外の農業は?

(アメリカの例)
世界各国に輸出する「世界の食料庫」と呼ばれるアメリカではどのような農業が行われているのでしょうか?
特に、だいず・とうもろこし・牛肉・レモン・小麦等で世界最大級の輸出を行っているようです。にも関わらず、農業人口は全体のわずか3%ほどです。
つまり、広大な土地を使って少人数栽培するため1人あたりの労働生産性が高いと言うことを指しています。

なぜ、そのようなことが可能かというとポイントは大きく二つで

1つめは、大型の農業機械を使っていること!映画やニュースで多くの方が見たことがあると思うのですが、飛行機を使って農薬をまいたり、農業機器に載って延々と畑を進んでいくあのイメージですね。
2つめは、気候や土壌にあった作物を大量に作れるという点です。

(オランダの例)
オランダは九州程度の面積なのにも関わらず、アメリカに次ぐ食糧輸出国です。
つまり、農地の少ない国・地域でも生産量はある程度コントロールできることが分かります。

その農業手法はというと、特定品目に集中して生産していることや大規模な農業施設を利用した高度な生産管理が軸としてあるようです。
オランダはビジネスとしての農業への取り組みが進んでいるのかもしれません。無駄な動きやエネルギーを無くし、いかに短時間の中で効率よく流通まで流していくかを追求しています。

このように世界に視点を向けるとまた違った農業の手法というものを考えることができます。

世界の農業一覧
https://solar-sharing.org/?cat=21

「アグリテック」という選択肢

あくまでも、初期投資にある程度余裕のあることが前提になりますが、
「アグリテック」という選択肢は考慮する必要があるでしょう。

AgriTech(アグリテック)とは? 農業(Agriculture)とテクノロジー(Technology)の組み合わせを指しており、最新技術を農業へ応用する仕組みです。
「スマート農業」と同義で、こちら呼び方が馴染み深い人も多いかもしれません。

ベテランの農家が長年培ってきた、勘や経験を頼りに行う環境制御を初心者でも可能にするものもあります。

アグリテックの例として、
面白い記事を見つけましたので、是非ご参照ください。
https://ideasforgood.jp/agritech-matome/

収穫作業を行うロボット
ドローンの活用
AIやIoTの利用
都市型農業

等が代表例として挙げられます。

このような技術を積極的に導入していくことで、生産量や品質を早めに安定させ投資回収を早めることも今後は考えていく必要があるのではないでしょうか?

「SDGs」と農業の動き

最近、新聞やテレビの中でSDGsという言葉をよく聞くようになりました。
多くの企業や政府機関で意識されている様子です。

<SDGsとは?>
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。
SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標。
開発途上国だけでなく、先進国も対象として世界全体で自国や世界の問題・課題に取り組んでいる
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特に農業と食料問題は密接に結びついており、各国でも力を入れているところが多いようです。
我が国でも各省庁がそれぞれの動きを行っており、農林水産省においては食品産業への働きかけなどが見られます。

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/index.html

食品産業は密接に作物や農業と関わっており、食品ロスや食品リサイクルなどを含めSDGsの対応を進めている企業があります。

そのひとつとして、CO2削減(気候変動への対応)のため、生産過程におけるエネルギーの在り方等も重要視されており、今後の農業ビジネスとして重要になるかもしれません。

コロナ騒動の中で見直される地域の食

昨今のコロナ騒動の中で農業新聞に、「食料供給を担う農家や農産物直売所の存在感が各地域で増している。」という記事がありました。これは各地域の農業が食のインフラとして活躍している様子を示しています。

 地域密接型で農家から取り寄せた直売所では、ユーザーが遠くの町まで外出をする必要がないのが大きな利点です。また、流通も早いためか在庫も十分に確保できている様子で、ユーザーからは「農家は大切な存在だと痛感した」「食べ物のありがたさを見直した」等と言った声も聞かれます。

何よりも「地域の安心」として農家や直売所の存在感を感じる契機となっているようです。

これまでも日本の食料自給率の問題は、度々世間で取り上げられてきました。

異常気象や天候不順、国際情勢により輸入が滞るのではないかという懸念です。しかし、だからと言って「複数国からの輸入がすぐに途絶えてしまうことは無いだろう」という盲信から先送りになってきたのではないでしょうか?

確かに、コロナの影響が見られる現在も全ての輸入が途絶えているというわけではないですが、隣国の輸出制限措置などもあり、複数国との往来が大変不自由になっていることは分かります。輸入が減り、私達の生活に物資不足の支障が生じれば結果として同じことです。

食料の生産、流通は仕組み作りにそれなりの時間が要することを踏まえ、各地域や各家庭を守る最低限の「自給自足力」が見直される時期にきているのかもしれません。



 

太陽光エネルギーを使った初心者でも可能な農業
~~ ソーラーシェアリングを使ったこれからの農業 ~~

大手企業や起業家の間で注目されることが増えてきた「ソーラーシェアリング」は、
しっかり農業を行うと共に手間を減らし農業の収益性を高める仕組みです。

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