こんな方におススメです・・・

◆ 農業をはじめようと考えている

◆ ソーラーシェアリングをはじめようと考えている

◆ 将来が不安だが、何をはじめていいか分からない

そんな悩みをお持ちの方におススメの情報です。

菌床栽培とは?

菌床栽培とは、菌床に菌種を入れてキノコを栽培する方法です。

菌床に馴染み無い方が多いと思いますが、木を粉々にしたオガクズなどに米糠などの栄養源を混ぜて、20センチ四方ほどのブロック状に固めます。見た目は石のようで、湿度の高い真っ暗な室内で菌の発生を促してキノコを栽培します。1つの菌床から数回に渡り3〜6カ月のサイクルで次々収穫できます。

昭和の後期に登場した菌床椎茸栽培は、まだ30年程の歴史しかなく比較的新しい農業手法と言えます。今後さらに改良が進んでいくかもしれません。

スーパーで売られている椎茸には「原木椎茸」と「菌床椎茸」の大きく2種類があるのをご存知でしょうか?

原木はその名の通り木を指していて、木に椎茸菌を打ち込み栽培します。古くからある栽培方法で、比較的時間がかかりますが、その分香りが強くなるようです。日本の干し椎茸のほとんどが原木栽培です。

対して「菌床」はと言うと栽培期間が短くなり、香りはそれほど強くありません。また「菌床」で栽培された方が多く水分を含んでいるという特徴があり、どちらがどの料理と相性が良いかという使い分けをするのが良いでしょう。

菌床栽培のメリットは手間がかからず、採取できる量も安定しているという点が大きいです。天候の影響も受けにくく、計画栽培(収穫時期の調整)をすることができるのでビジネスとして初心者でも取り組みやすい農業手法です。

写真のように棚を立体的に使って栽培するので、限られた土地を有効活用できます。栽培環境と設備が整っていれば、一年中収穫することも可能ですし販路の開拓も比較的やり易い作物なので、自社ブランドの開発や農福連携などといったビジネス展開も可能です。

菌床栽培とソーラーシェアリング

前述しましたが、菌床栽培で重要なポイントは栽培環境を整える事です。
キノコ栽培はソーラーシェアリングとの相性が非常に良い作物で架台やパネルを利用した環境づくりをすることができます。

まず、キノコ栽培ではほとんど光を必要としないため上部のパネルを全て水平に設置することができます。この場合、遮光率はおよそ98~100%で、屋根のように利用し、更に周りの架台を使い遮光ネット等で周りを囲めば、暗くて適度に湿気を保つことのできるハウスのような環境が簡単に作れます。

更にパネルを水平にすることで発電量が大幅に増えるので、エネルギーを最大限に活用できるというメリットがあります。最近ではエネルギーを活用する選択肢も増え、自家消費やスマート農業への電力供給としての利用する方法もあります。

SDG‘sや脱炭素化社会と言った社会的な流れもあり、再生可能エネルギーにより栽培された商品価値に着目する消費者もいるようですので、販売の仕方によってはブランディングに繋がるかもしれません。

 

菌床栽培とソーラーシェアリングを組み合わせたメリットをまとめると

◆手間がかからず、初心者でも取り組みやすい
◆一年を通して栽培・収穫が可能
◆天候・気候の変化を受けにくい
◆ニーズが高く、販路が開拓しやすい
◆土地の有効活用ができる
◆ソーラーシェアリングの発電量を向上させる

 

また地域にもよりますが、椎茸は国の支援を受けやすい作物でもあるので、お住いの地域で補助金や公的資金制度などが無いかよく確認すると面白いかもしれません。

※ソーラーシェアリングについて詳しくはこちら

菌床栽培の事例(SUNファーム市原)

ソーラーシェアリングを利用した弊社の実験農園「SUNファーム市原」では菌床による「椎茸」「木耳(キクラゲ)」の栽培行っています。

規模的にはそれほど大きくはありませんが、菌床栽培のノウハウ構築やエネルギーの利用法も含めてどのように収益性を高めるか日々実験が行われています。通常のキノコハウスと大きく違うのはアクアポニクスと併設している点が挙げられます。

アクアポニクスは水産養殖と水耕栽培を同時に行う設備ですが、キノコは動物と同じくCO2を吐き出しますがこのCO2は水耕栽培を行っている作物の光合成を助けます。

※アクアポニクスについて詳しくはこちら

上記でも述べましたが、ソーラーシェアリングの遮光率約100%のキノコ栽培(菌床栽培)では発電量を大幅に増やすことが可能です。

SUNファーム市原では発電したエネルギーをトマトの水耕栽培に利用しています。水耕栽培にはハイポニカプラントを利用しており、非常に生産性が高く安定した栽培を行うことができるのがメリットです。

この仕組みによると、根の部分は土を使わず、栄養分を含んだ水で浸します。更に24時間水流を作ることで根の隅々まで栄養が行き渡り、植物はストレスの無い環境で成長が促進されるというものですが、ポイントは水流を作りだし、更には温度調整をするため多くの電力を必要とする点です。

より良い農業を行うためには、より多くのエネルギーを必要とします。

このエネルギーを賄う役割としてもキノコ栽培のソーラーシェアリングは役だっています。

キノコの栄養価

補足情報として、キノコ類の魅力についてまとめてみました。
「何となく身体にいいというのはわかるけど・・・」といった方のために、どのような成分が含まれているのか代表的なものを記載しています。

■椎茸または木耳(キクラゲ)に含まれる代表的な栄養素

食物繊維:食物繊維には整腸作用があり肌荒れを防ぎ、ダイエットや肥満防止にも効果的と言われています。以下のようにキノコ類には食物繊維が多く、100gあたりの食物繊維の含有量を他の作物と比較すると突出していることが分かります。

ビタミンD:カルシウムの吸収率を高め、脳神経の発育にも良いと言われているので成長期のお子様にお勧めの食品です。

エリタデニン:血圧抑制効果、血管のつまりやコレステロールの増加を防ぐ効果があると言われています。

レンチナン:椎茸の香りの成分です。免疫力を高め、ウイルス性の病気に強い抵抗力を高めると言われています。

LPSLPS(リポポリサッカライド)には、自然免疫の要であるマクロファージを活性化させる作用があり、マイクロファージが活性化することで特定のたんぱく質が放出され、免疫細胞を助けて異物排除をします。

※ 2020年11月医学雑誌「Nutrients」に「新型コロナ虚弱高齢入院患者におけるビタミンDと生存率改善との有意な関連性」という論文が掲載されており、ビタミンDの重要性が見なおされています。

まとめ

菌床栽培は初心者でも取り組みやすい農業でかつ商品力としての魅力も詰まった農業です。更にソーラーシェアリングを併用することで、ビジネスとしてのポテンシャルを飛躍的に高めることが可能です。

社会の流れとして環境や健康に配慮されたニーズが高まっており、「再生可能エネルギーを利用している価値」「国産かつ農薬や安全面に配慮した価値」というものが今後重要視されていくのではないでしょうか。